広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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巻頭特集
激動のスーパー 生き残りの一手
再編進むスーパー業界 地場各社が経営戦略を再構築

スーパー業界の再編が加速している。中四国地方の両雄、イズミ(東区)とフジ(南区)は同業との経営統合、M&Aなどで激しいシェア争いを繰り広げる。人口減少、原料や人件費の高騰、EC(通販)やドラッグストアの台頭など業界を取り巻く環境は厳しい。地場各社は地域密着、サプライチェーンの再構築、デジタル化などの観点で強みを磨き、選ばれる店づくりを進める。
イズミ、M&Aを強化
 イズミは2030年度に22年度から43%増の営業収益1兆円(収益認識基準適用前)を掲げる。現在から100店超多い連結300店体制を計画し、人口増加が続く福岡市をはじめとした西日本エリア全体でM&Aや協業を強化。4月3日、西友(東京)が福岡など九州5県で展開する全69店を8月に取得すると発表した。1月には手薄だった大分市を中心に4店を運営するサンライフ(大分)の完全子会社化を発表。既存店のスクラップアンドビルドにも力を入れ、重点エリアの広島・熊本・福岡・山口で積極化する方針だ。    

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話題のお店を取材!
宮島レ・クロ / 黒越 勇 シェフ

宮島の表参道商店街を外れた町屋通りに位置する、築100年以上の邸宅を改装したイタリアンレストラン。ANAクラウンプラザホテルに約30年間勤め、総料理長などを歴任した。
「コースでは、穴子のペペロンチーノや広島牛の赤ワイン煮込みなど、県内食材をふんだんに使った料理を提供。店内でもG7サミットで使われたマルニ木工の『ヒロシマアームチェア』を採用し、さまざまな角度で広島を体感できる空間に仕上げています」
 コロナ禍の影響が和らぎ、この1年間で休・平日問わず来島者が急増したという。一方、島内で夜営業の飲食店は意外に少なく、宮島の夜はいわば〝夕食難民〟の訪日観光客でごった返していると話す。
「ディナーは予約限定のため、ふらっと立ち寄った海外のお客さまを断るケースが多くなり、申し訳なさを感じています。飲食店を探し回ることなく島時間をゆったりと過ごしていただきたいので、今後は予約なしの方に対応する単品メニューもそろえたい」

INFORMATION
  • ◆住所:廿日市市宮島町527-1
  • ◆電話:0829-30-7196
  • ◆平均予算:9000円
  • ◆座席数:32席
  • ◆営業時間:午前11時半〜午後3時、午後5〜8時
  • ◆定休日:不定休
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経営者が語るスポーツ「愛」
(公財)広島市みどり生きもの協会 広島市植物公園 / 永井 親雄 園長

サッカースタジアムの開業を祝して2月、「春の特別ラン展」を開催しました。新スタジアムの模型の周りにサンフレッチェカラーの紫色のモカラの切花を配したほか、サンフレッチェ優勝時の横断幕コーナーや、南米・欧州などサッカー大国のランを集めたコーナーも設置。「復興の歴史とサッカー」と題したパネル展示も行いました。サンフレッチェの森﨑浩司アンバサダーを招き、トークショーやサッカー体験イベントも開催。遺伝子組み換え技術を使った青色のコチョウランなど珍しい品種も含め、約500種類、4000鉢、20万輪のランで一足早い春を演出しました。
 愛媛県今治市の大三島出身で、鳥取大学農学部を卒業し、広島市役所入り。市農林振興センターや安佐北区役所農林課などで勤務し、退職後の22年4月から現職。20〜40歳代は瑞穂ハイランドなどでスキーを楽しみ、45歳からゴルフをしており、カープ観戦にも行っています。サンフレッチェでは日本代表だった駒野友一選手が印象深いですね。
 植物公園では毎年タイムリーな特別展を開催。カープ関連では、赤いキンギョソウやサルビアなどで鯉を描いた花絵を展示したこともあります。そのほか、球団とコラボレーションした南米原産の世界最大の水草「オオオニバス」に乗ったカープ坊や、花言葉が「勝利」のナスタチウムをバット代わりに持ったカープ坊やのTシャツなどを売店で販売しています。

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記者が注目する旬の話題
DXで手作業を守る

物流や建設業などで時間外労働の上限規制がスタートする2024年度が始まった。どの業界も人ごとではない。急速に進む労働人口の減少や賃上げ要請に対応すべく、業務効率化が迫られる。
 今秋に設立60周年を迎える板金加工の広島メタルワーク(中区)は3月、経産省「DXセレクション2024」優良事例に選定された。20年近く前から佐伯区湯来町の工場で取り組んできた生産性向上活動が評価された。デジタルトランスフォーメーションの略称DXが広まる、はるか前にデジタル化に挑んだ背景に、昔ながらの手作業を守るための覚悟があった。
 創業は戦後の復興期。被爆で焼け野原になった街が建設ラッシュでにぎわう頃、創業者の前田彦三さんは日本に入ってきたばかりの新素材ステンレスの美しさに一目ぼれ。従来の鉄に比べ腐食しにくい特性を生かそうと、サッシなど建材作りを始めた。
 未知の金属に懐疑的な声もあったが、とことん加工技術を磨いた。次第に引き合いが増え、高度成長期に建てられたビルの多くに採用。いまもリーガロイヤルホテル広島の玄関など、多くの場所に同社の手掛けた製品が残る。
 しかしバブル崩壊後、一気に建築需要が落ち込んだ。会社は債務超過に陥り、銀行の融資も厳しくなった。1991年に父の会社に入った現社長の前田啓太郎さんは、
「どん底からのスタート。技術で活路を見いだそうと、食品工場や医療設備向けの機械加工へ進出したことが転機になった。ステンレスは数ある金属の中でも切削や曲げが特に難しく、扱いに長けた会社は少なかったため、西日本を中心に幅広い機械メーカーから受注が入った。大量生産品ではなく、オーダーメードの製品ばかり。つまり、大手が対応し切れない面倒な仕事を人の手で行っている。職人技と言えば聞こえは良いが、コストや管理などの面で非効率なことも数多い。これを改善しなければ、せっかく培った技術を後世につないでいけなくなると考えた」
 社長に就いた2003年、志を共にする全国の製造業8社で生産管理システムの構築に着手。2年後に共同で立ち上げた会社で開発を加速し、08年に完成した初代システムの後、15年から2代目の「TED」を工場に導入した。
「かつては他社製システムを使っていたが細かい部品管理ができないため、社員が工場内を探し回るという本末転倒の事態が発生。使える端末の数も限られていた。TEDは中小製造業の現場の声を基に設計しており、デジタルに不慣れな社員も直感的に操作できるほか、全員がリアルタイムで図面や作業の進捗状況を共有可能。加工作業に集中できるようになり、生産性が大幅に改善した」
 約5億円だった売上高は10年弱で約9億円に拡大。21年度には中小企業庁から全国300社の「はばたく中小企業・小規模事業者」に選ばれた。デジタル活用だけが目的ではなく、挑戦する風土づくりにもこだわりがある。
「父がステンレス、私がシステム開発へ挑んだ先に新しい発想が生まれ続ける組織としたい。工場入り口に立つキリン親子のオブジェや各建物をライオン棟、カメレオン棟などと名付けたのもその一環。一人一人が個性を発揮できる仕事場を目指す」
 DXは、豊かな感性と果敢なチャレンジ精神を備えた人が主役と言い切る。

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